シラサ避難小屋 |
人生半ばの大台を目前にして体力・気力の衰え著しく、北アの冬山になかなか入る踏ん切りがつかず、ここ5年ほど正月は八ツと四国内しかいっていない。来年は南ア・甲斐駒という話がチラホラあるので、30代の時に登った鋸尾根をまた登ってみたいな~という気持ちはあるのだが、どうなることか。
今回の年末年始は東之川から瓶~石鎚東稜という、結構なロングハードルートを考えていたのだが、今年は雪が多く、大晦日から元旦にかけて強い冬型とあって、あっさり日和り、白猪谷から瓶~伊吹山に変更。稜線の林道上で幕営予定だったが、強風が予想されたので、新築のシラサ非難小屋に17時まで長駆足を伸ばし入り、木のにおいが香るきれいな小屋が貸切というゴージャスな一夜を過ごすことができた。
この小屋、県環境共生課が建てたもので、金は夏場の緊急雇用関係で出ているんだろうと思う。以前のブロックの古小屋は撤去されていた。使ってみた感想を少し。
広さ 25人程度がマックスで、三嶺のオカメや八丁ほどは大きくはないが、頂上小屋くらい。まあ十分。
立地 避難小屋としては中途半端な感じはある。無雪期は基本的に無用な位置(すぐ上を車が素通りして有人の旅館が営業している)であり、役割は冬場のみ。ひょっとすると伊吹山から朝写真を撮る人の基地として車できた写真やさんには無雪期でも便利かもしれない。冬場は今はよさこい峠まで車で上がれなくなっているので高知側から石鎚を目指すには白猪谷から入る以外ない故に役割はある。
トイレ 中から入れる、中からしか入れない。こういう避難小屋は初めてみた。今回のような荒天の冬場はチョー快適。稜線でテントで吹雪いた時、寝袋の中で尿意を我慢して我慢して、それでも朝まで我慢できない時、意を決してヤッケを着て、登山靴を履いて、目出し帽をかぶって、テントの外に飛び出す。かじかむ指で引っ張り出して、用を足すが、強風でどこに飛んでいるかも定かではないが、それどころではない。ほうほうの体でしまいこみ、雪まみれでテントに戻り、ヤッケや靴の雪を払い、ようやくはあはあ言いながら寝袋に戻る。これが大だとかなり悲惨。女性も大変だ。このように冬山の用足しは命がけだが、この小屋は極楽だった。ただ新規のうちや冬はいいが、夏は臭いがどうなるか?
ストーブ 蒔ストーブが設置してあったが、気持ちはわかるが、非難小屋には無用の長物でしょう。「蒔を補充しおけ」との張り紙があったが、冬は枯れ木は雪の下で無理。
雨水タンク 雨どいから雨水をタンクにためて小屋の中の流しの蛇口からでる仕掛けがあったが、これも無用。この小屋、水場が不明瞭だが、ひょっとして室内の蛇口は雨水ではなく通常の水がでるのだろうか。いずれにしても冬は水は出ないし、雪でつくるので関係ない。
ドア 3方にドアがあるが、いずれも外開きで低い位置にあるので、少しの雪で開かなくなる。大量降雪があると、スコップでほらないとあけるのは無理だろう。遭難寸前の登山者がたどり着いたとしたら、これではまずい。避難小屋としては役に立たない。もう少しドアの位置を奥にするとか、内開きにするとか、引き戸にするとか工夫がほしかった。
その他 まだ新しいし、登山者があまり泊まっていないからだろうが、殺風景で棚とかフック、洗濯紐などがなく使いづらい。スリッパ、板の間を掃く箒もほしい。特に箒は「使ったら掃除をして帰ってください」と張り紙があるのだから、即ほしいところ。N課長がよければ、うちの会で寄贈しますけど。時間が経過すればあれこれ増えてくるだろうが、ここは夏場は車が入るので、三嶺の小屋とは違い持ち込まれすぎて困るかもしれない。