2013年 05月 08日
「特別な事由」 |
「特別な事由」とは何か。
岡﨑誠也高知市長は、今回の談合が認定された21企業の指名停止処分を短縮するにあたって、「市要綱に短縮できると書いてあるんだから法は犯していないぞ」という言い方をしている。
その要綱とは「高知市競争入札指名停止措置要綱」のことで、4条6項に「市長は、指名停止の期間中の有資格業者について、情状酌量すべき特別の事由又は極めて悪質な事由が明らかになったときは、(略)指名停止の期間を変更することができる」とある。
要綱に「変更できる」とあるから構わないのだ、と言う。
だが、それは、観点がずれている。
要綱に期間短縮の記載があるのは当然だろう。でなければ、短縮などやりたくてもできない。ここで問題にしなければならないのは、情状酌量に値する「特別な事由」に、今回の事例が相当するのか否かの一点である。
解釈を濫用し、実態がないのに、「特別な事由」があるということにして、恣意的に指名停止期間を短縮するのは要綱に違反する。
市側の説明によると、①県との連携、②「今回指名停止を受けていないA級業者の経営が苦しいという話を聞いた」(M田総務部長)という2点を具体的な短縮の理由にしている。
「特別な事由」という言葉は、市民が納付すべき税などを特例的に免除される時などによく使われるのだが、災害で被害を受けた時であるとか、家庭の大黒柱が倒れ一家の収入が激減しただとか、当初予想できなかった突発的な事故や不測の急変があった場合に配慮するというものである。
では今回、談合で処分された21企業に、処分を決定した昨年秋から、予想ができないような急変が、何かあったのか。
公共事業のボリュームが細ってきたのに、建設業者数が過剰で、経営が慢性的に苦しいのは、今に始まったことではない。
指名停止を受けた業者が破綻したというなら、まだ理由になるかもしれないが、指名停止を受けていない業者の経営難が、どうして処分短縮の理由になるのか、理解できない。
処分を決定した昨年秋から事情は大きくは何も変わっていない。
要は、県に追随するということだけが、「特別な事由」に相当するのかどうかが問われているのである。
県と高知市は、それぞれ別個の独立した対等な行政機関であり、「県がやったから」だけでは市民への説明になっていない。高知市として何が「特別な事由」に相当するのかを提示しなければならない。むろん、それは社会通念上通用するものでなければならない。
今回のケースは、形だけ短縮に「お付き合い」をして、建設業界にいい顔をしただけのことであり、実態にほとんど影響はないだろう。それは業界の事情に精通する浜川総一郎市議(新風クラブ)が「効果はともかく、気は心だ」と述べていたことに集約されている。
業界側の利益代弁者が「効果はともかく」という程度の処分軽減を、どうしてもしなければならない「特別な事由」を岡崎市長は市民にきちんと説明をする義務がある。
「特別な事由」も提示できないのに、要綱を歪め処分期間短縮をすることは許されない。
世間ではこういうのを、コンプライアンスの欠如、という。
岡﨑誠也高知市長は、今回の談合が認定された21企業の指名停止処分を短縮するにあたって、「市要綱に短縮できると書いてあるんだから法は犯していないぞ」という言い方をしている。
その要綱とは「高知市競争入札指名停止措置要綱」のことで、4条6項に「市長は、指名停止の期間中の有資格業者について、情状酌量すべき特別の事由又は極めて悪質な事由が明らかになったときは、(略)指名停止の期間を変更することができる」とある。
要綱に「変更できる」とあるから構わないのだ、と言う。
だが、それは、観点がずれている。
要綱に期間短縮の記載があるのは当然だろう。でなければ、短縮などやりたくてもできない。ここで問題にしなければならないのは、情状酌量に値する「特別な事由」に、今回の事例が相当するのか否かの一点である。
解釈を濫用し、実態がないのに、「特別な事由」があるということにして、恣意的に指名停止期間を短縮するのは要綱に違反する。
市側の説明によると、①県との連携、②「今回指名停止を受けていないA級業者の経営が苦しいという話を聞いた」(M田総務部長)という2点を具体的な短縮の理由にしている。
「特別な事由」という言葉は、市民が納付すべき税などを特例的に免除される時などによく使われるのだが、災害で被害を受けた時であるとか、家庭の大黒柱が倒れ一家の収入が激減しただとか、当初予想できなかった突発的な事故や不測の急変があった場合に配慮するというものである。
では今回、談合で処分された21企業に、処分を決定した昨年秋から、予想ができないような急変が、何かあったのか。
公共事業のボリュームが細ってきたのに、建設業者数が過剰で、経営が慢性的に苦しいのは、今に始まったことではない。
指名停止を受けた業者が破綻したというなら、まだ理由になるかもしれないが、指名停止を受けていない業者の経営難が、どうして処分短縮の理由になるのか、理解できない。
処分を決定した昨年秋から事情は大きくは何も変わっていない。
要は、県に追随するということだけが、「特別な事由」に相当するのかどうかが問われているのである。
県と高知市は、それぞれ別個の独立した対等な行政機関であり、「県がやったから」だけでは市民への説明になっていない。高知市として何が「特別な事由」に相当するのかを提示しなければならない。むろん、それは社会通念上通用するものでなければならない。
今回のケースは、形だけ短縮に「お付き合い」をして、建設業界にいい顔をしただけのことであり、実態にほとんど影響はないだろう。それは業界の事情に精通する浜川総一郎市議(新風クラブ)が「効果はともかく、気は心だ」と述べていたことに集約されている。
業界側の利益代弁者が「効果はともかく」という程度の処分軽減を、どうしてもしなければならない「特別な事由」を岡崎市長は市民にきちんと説明をする義務がある。
「特別な事由」も提示できないのに、要綱を歪め処分期間短縮をすることは許されない。
世間ではこういうのを、コンプライアンスの欠如、という。
by tosahiro-k
| 2013-05-08 19:14
| 取材こぼれ話