モード・アバンセ事件実刑確定 |
8月29日には、急遽橋本知事の会見が開かれたが、重い雰囲気だった。質問がほとんど出ない。高新のベテラン連中も派遣されていないようで、モード事件の時の事を直接知っている記者は、ほとんどいなかったのではないだろうか。
自分としては、高裁での有罪判決は、当然という立場であるし、事件発覚後の県政改革の取り組みは重々承知しており、基本的に済んだ話なので、特に聞きたいこともなく黙っていた。高新は「部下が犯罪を犯したのだから、知事は退職金を返上すべきではないか」というのが主な問題意識であったようだ。
高新の記事を読むが、少々ピントがずれている感じがする。「県庁内にやるせなさ」、「公益性基準示して」・・・。
今回の事件が「解同」いいなりの長年の県同和行政の帰結であることは間違いないのだが、だからといって被告が「BC級戦犯」であり、組織の犠牲者であるかのような打ち出しは違う。
同和うんぬん以前に、手法の異常さ、手続きにおける違法不当ぶりが大きな問題だ。モードへの融資は議会に隠し、モード社+闘犬(その後)専用に秘密要綱を作成し、予算はよそから流用。「転がし」で融資の実態を隠す悪質な操作までしており、「知事には言うな。俺が責任とるから」と山本元副知事は、この融資を徹底的に隠蔽し、抵抗する国からきた官僚組と激しく対立していたのである。
であるから、いくら当時の同和行政のもととはいえ、それがそんなに政策的に大事なものなら、議会に諮るという通常の手続きをとればよかったのだ。そうすればおそらく共産党に噛みつかれて、頓挫して「解同」につるしあげられたかもしれないが、彼らが獄につながれることはなかっただろうし、よしんば共産党だけがいくら指摘しても、当時の状況(高知新聞が解同と同和問題についてまったく批判しない状況)の中で議会が認めていれば、「議会からもOKもらっているし」と言いのがれることができた。
であるからして、高新が言う「昔のことを今の基準で裁くのはおかしい」的な言い方は当たらない。今も昔も、議会に説明するというルールの逸脱は許されない。こんなやり方で数10億円もの損害が出れば、関わった責任者が責めを負うのはしかたないだろう。
モード事件の「闇」と、このあいだの基金協会の「闇」と混乱して何がなんだかわからない人もいると思うけど、今回のモードのほうは正真正銘の文字通りの闇融資である。
高新は、つい最近「闇融資の体質がまだ残っている」と海洋局を攻撃していた時とはうってかわって、今回は妙に職員に「同情的」だが、なんだか整合性がない。海洋局の時には、議会の説明はもちろん、正規の手続きをふんだ公益性の高い団体への基金積み立てであったのに、「闇だ闇だ」と大騒ぎしていたのに・・・。
橋本知事の退職金返還の話も、そう言いたい人の気持ちも分からないでもないが、感情論であり本質的でない。ただ政治家・橋本大二郎がどう考えるかはまた別問題で、政治的にプラスマイナスを考慮してご自分で決めればよろしいと思う。