長谷川恒男カップで死亡事故 |
このレース、都岳連というれっきとした山岳団体の主催で、かつての天才クライマー長谷川恒男の名を冠して、長谷川カップなどと称しているが、70キロ以上の山中を、トップは7時間台という、登山とは無縁の単なる登山道を使ったマラソン大会でしかない。
この手の山岳マラソンは、国体の登山の種目にも組み込まれており(だいたい競技として成り立たない登山を国体種目などにするから、おかしなことになる)、選手には山屋などおらず、陸上選手を借りてきて、ランニングシャツに短パンという、まったく山岳にふさわしくなく、トラブルがおきた時に備えての防寒着の一つすら持っていないようなスタイルで、四国の山でも、県境稜線の高山帯の登山道上を突っ走っているのを見かけたことがある。あれで足でもくじいたらどうするんだろうか、すぐにヘリがくるのでOKということなのだろうか?もし一晩ビバークとなればマラソン選手は体脂肪率低いから、相当消耗すると思う。
こんなシロモノを登山競技と認める日山協は相当なアホだと思うが、それよりもランナーの安全管理を本当に真剣に考えているのだろうか。全然理解できない。
上記の長谷川カップは参加者約2000人、13時スタートで、事故者は23時20分頃、45キロ地点でヘッドランプで走っていて、ヤセ尾根から北側へ180メートル落ちたという。報道されている情報、都岳連の事故報告概要から読みとれるのは、図のヤセ尾根である。標高1200メートル。等高線がつんでおり、危険な箇所であることが分かる。事故者は初出場であり、上位入賞を狙えるタイムで事故現場に入ったというから、ペースを落とさず、どんどん踏み込んだのだろう。そして落ちた。
こんな場所で、深夜にヘッドランプで、マラソンをするほうもするほうだが、させるほうもよほどどうかしている。正気の沙汰とは思えない。おそらく参加者が山屋ばかりの時はまだよかったのだが、陸上選手が大挙して参加するようになって大会が、どんどんエスカレートしているのではないだろうかと想像する。
都岳連の事故報告では、事故原因の分析はこれからなので、行方を注目したいが、あまり期待できそうにない感じである。こんな無謀レースは、山の安全を啓蒙すべき使命を帯びている山岳団体ならばこそ、即やめるべきだし、タイムトライアルをやるなら、下界と山はきちんと区別しなければならない。最低限、夜間に走らせるような設定のレースはやめるべきだ。