NHK「どう読む2009日本と世界」 |
交わされていた議論の中心は、これほど弱者に冷たい社会は変えなければならない、小さな政府・新自由主義を改め、教育や福祉重視の国家へ根本的に変えるべきだなどというもので、まるで共産党のシンポを見ているかのような錯覚に陥る、注目すべき内容だった。スポーツの山本氏だけは、口はよくまわるが、まったく的外れで何を言っているか分からなかった。他の解説委員も辟易しているようにみえた。
NHKの彼らがどこまで意識しているかどうかは分からないが、資本主義を乗り越えた社会主義的な社会こそをめざすべき方向だというメッセージが結果的に込められているように自分には感じられてならなかった。
国民大衆に爆発的にエネルギーが充満し、意識が急速に変化し、沸点が近づいているのが、ひしひしと感じられる。自分が政治的に物心がついた80年代以降、このような状況はいまだかつてなかった。外国なら労働者や学生の大デモがとっくに巻き起こっているだろうが、日本でもそう遠くない時期に、そのような状況が来るのではないか。革命的情勢が切迫しているなどというと、笑われるかもしれないが、それに近い感覚をもっている。
が、既存組織が、急激な変化についていけているのか。労組のナショナルセンターも、共産党も、物事をそういうスケール感でとらえきれていない感じがする。もっと明確な分かりやすいメッセージを掲げ、大胆に国民大衆によびかけるべき時だ。
2009年に必ずくる総選挙では、自民・民主の議席配分がどうなろうとも、前段言ったような社会のあり方を一貫して主張してきた第3極の共産党が明確に前進し、政治の重要な部分に絡むことにならなければ、結局この国は何も変わらないだろう。
小泉ブームの時、こぞって「規制緩和、競争原理、自己責任だ」と言って、多くの国民大衆が自民党を嬉々として支持したのがほんの5、6年ほど前のこと。その時には、なんで自分で自分の首を絞めるようなことをするのかと思ったものだが、共産党はこのころから国会議席は一桁に落ち込み、議席占有率が数%という状況になった。今日の社会の惨状は、こんなことを言うとしかられそうだが、ある意味当然の帰結というか、身から出た錆びともいえる。
次期総選挙では、有権者はよくよく考えて行動しなければならないし、受け皿となる側も、今日の情勢の急激な変化にふさわしい大胆なメッセージを、機敏に打ち出すことが重要な時だと感じる。