2011年 01月 20日
トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか |
2009年7月、北海道トムラウシで8人が亡くなった大事故について、ツアーの参加者や随行ガイドに丹念な取材をしてまとめた羽根田治「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」。
この遭難は、夏山でありながら、強風下での無理な行動で低体温症に陥り行動不能になり、ガイド1人、客7人が死亡した大変ショッキングな事故。ツアー登山のリスク、低体温症の危険性への認識を改めさせ、全国の登山関係者の中で議論を巻き起こしている。
羽根田治の作品は、ものを書いている人間の端くれとして、一種の嫉妬を感じるほどに、丁寧に関係者の証言をとっており、読ませる。
とりわけ本書には、加害側の人間になる、山中で意識不明になったものの生き残った元サブガイドのインタビューを載せているが、これはなかなかできる仕事ではない。羽根田とともに実名取材に応じた元ガイドの勇気も高く評価したい。
本書を読むまでは、ツアー客は最後までただただガイドに追従していたような印象を持っていたのだが、実際にはガイドに置いて行かれた客同士が必死で助け合ったり、動けなくなったガイドを逆に客が激励して援助したりと、極限状態の中で、客も懸命に動いていたことを知った。
また本題とは少し外れるが、凍傷治療で有名な金田正樹医師が、イラク戦争で難民治療にあたっていたことも知ることができた。
登山関係者には必読の書。この羽根田氏を高知に呼ぼうと今画策中である。
この遭難は、夏山でありながら、強風下での無理な行動で低体温症に陥り行動不能になり、ガイド1人、客7人が死亡した大変ショッキングな事故。ツアー登山のリスク、低体温症の危険性への認識を改めさせ、全国の登山関係者の中で議論を巻き起こしている。
羽根田治の作品は、ものを書いている人間の端くれとして、一種の嫉妬を感じるほどに、丁寧に関係者の証言をとっており、読ませる。
とりわけ本書には、加害側の人間になる、山中で意識不明になったものの生き残った元サブガイドのインタビューを載せているが、これはなかなかできる仕事ではない。羽根田とともに実名取材に応じた元ガイドの勇気も高く評価したい。
本書を読むまでは、ツアー客は最後までただただガイドに追従していたような印象を持っていたのだが、実際にはガイドに置いて行かれた客同士が必死で助け合ったり、動けなくなったガイドを逆に客が激励して援助したりと、極限状態の中で、客も懸命に動いていたことを知った。
また本題とは少し外れるが、凍傷治療で有名な金田正樹医師が、イラク戦争で難民治療にあたっていたことも知ることができた。
登山関係者には必読の書。この羽根田氏を高知に呼ぼうと今画策中である。
by tosahiro-k
| 2011-01-20 09:35
| 登山