2016年 12月 07日
田辺浩三を語る会 |
「田辺浩三を語る会」が11月26日(土)、龍馬の生まれたまち記念館(高知市上町)で開催されました。当日のダイジェスト映像を紹介しておきます。
友情出演していただいた堀江真美さん、参加者や協力していただいたみなさん、本当にありがとうございました。とても良い会になったと思います。死してなおこのような集いを、僕たちにやらせてしまう田辺浩三という人物は、つくづく凄い人だったんだなと痛感します。
「語る会」で中田が発言した内容を記させていただきます。
カンパと生演奏
「高知民報」の記者を90年代前半からやっていた関係で、田辺さんとは90年代半ば、「窪川シネマクラブ」時代に出会いました。高知市と窪川の環境改善センターで土日に上映会していた頃でした。映画の予定を告知記事にする情報をマメに届けてくれていました。
田辺さんは、圧倒的なボルテージで一方的に話しますので、いささか辟易しなからも、持ち込んでくる情報には光るものがありましたし、一時だけやる人はいくらでもいますが、頑なに継続する姿勢に、高知の文化の一角を担う人だという思いも感じでいましたので、少しでもそれを支えたいという思いもあり、紙面には最後の上映会まで、必ず田辺さんの持ち込む情報は掲載するようにしてきました。
田辺さんの上映会は、入場料は取らずカンパで運営していました。「入場料を決めたほうが良くないか」と、何度も言ったことがありますが、「映画を見て、値打ちに見合った額を払ってもらう。お客さんが値段をつける」というのが田辺流のスタイルで、最後までそれを貫きました。
窪川の実家・一心堂が営業していた頃は、ちょくちょく店でアナログレコードを買いました。高知にレコードを持ってきて行商していたこともありました。私はオーディオ好きで、ジャズはほぼ素人ですが、関心はありましたので、渡りに船で、言われるがままにハンプトン・ホーズなどを教えてもらっては買いました。今も田辺さんから買ったレコードを時々引っ張りだしては聞いています。
ジャズ・ミュージシャンのコンサートについては、覚えているだけでもゲイリー・バートン、リッチー・バイラーク、小曽根真、マル・ウォルドロン、藤井郷子などなど、きら星のようなスターを高知に連れてきました。学校や病院などの予算を使ってのチャリティ企画が多かったように思います。最後にプロモートしたのはジャズではありませんが、昨年末の反原発アイドル・制服向上委員会でした。
コンサートを告知する記事用の情報も必ず持ち込んできて、「インタビューさせてやる」とよくミュージシャンに取材する機会を与えてくれ、生演奏も随分聞かせてもらいました。
2000年代前半だったと思いますが、「インタビューしろ」と、「レフト・アローン」のマル・ウォルドロンを、ひょっこり「高知民報」の事務所に連れてきたことがありました。
あまりのことに度肝を抜かれ、どう対応したのかよく覚えていませんが、その後、竹林寺のライブの時に対談記事にしました。
田辺さんは、オーディオ装置には、まったく無関心でモノには執着がなく、「演奏は生で聴くもの。一期一会」とよく言ってました。レコード屋がそれを言ったらおしまいでしょと思いながらも、含蓄のある言葉でした。
映画料金カンパというスタイル、生演奏は一期一会という田辺さんのこだわりには、映画とジャズの真髄が包含されているように思います。随分といろんなことを学ばせてもらいました。本当の意味の高知の文化人でした。(高知民報記者)
by tosahiro-k
| 2016-12-07 14:49
| 取材こぼれ話