2018年 09月 20日
西敷地の既視感 |
岡崎市長はもう覚えていないかもしれませんが、2年半前に今の計画が動きだした時は、居住はさせない計画でした。
住宅はできない事業用定期借地権のスキームで外部委員による検討委員会に諮り、委員の討議も住宅はできないという前提でやって、広場や子どもの遊び場などの4機能を求める内容の答申がでました。
ところが、それを受けた高知市がプロポーザルの募集をかける段になって、担当者が替わり「より幅広く提案を受けるため」といって、居住もありの一般定期借地権に前提条件を勝手に変えてしまった。これによって、和・チカミ案が可能になったわけです。
前任者とばったり会った時、「募集要件がマンションもありになったぞ」と教えると、真顔で「嘘よ、マジか」という反応でした。それもそのはず、ずっと「事業用定期借地権なので、マンションはできない」と説明してきた経過があるので当然でしょう。
今、進めようとしている案の前提条件は、検討委員会に諮っていたものとは別物で、検討委が審議したものではない。検討委に諮問した内容のままであれば、住宅は不可能であり、和・チカミ案も選ばれることはありませんでした。
つまり、ここに住宅は作らせないという明確な意思を当初の高知市は持っていました。しかし、屈してこれを放棄してしまった。
事業用定期借地権を取り下げたところがルビコン川でした。あとはズルズル引っ張られ、何でもアリでここまできました。ずっとこの問題を間近に見てきましたのでわかりますが、確かに現場の抵抗はありました。
が、鯛は頭から腐る。トップの腰が砕けてしまってはもはや、為す術もありません。
事業用定期借地権のことに話を戻すと、市が検討委に諮問した前提を勝手に変えるのは明らかに裁量権の乱用で、そんなことなら検討委員会を金と手間をかけてやる意味などありません。こういうことは行政の禁じ手で、もし重要な前提条件を変えなければならないのであれば、検討委に提案し、会議の場で確認をとる手順を踏むのが、役人というものです。
行政の公正性の芯が崩れてしまえば、あとは何でもあり。議会の多数さえ確保すれば何でもやれます。残念ながらそれが今日の到達点ですね。
実はこの姿にはデジャブ感があります。少し前まで、高知市役所でよく見かけた特定同和団体への対応。これを今回の某経済団体と置き換えれば、構図はまったく同じ。その歪みを正面から報じない地元紙の姿勢までが、瓜二つです。
初めから補助金、行政頼みですぐ破綻したモードアバンセ、よこはま水産、大型作業所、そして闘犬、うぶすな博物館等の末路と似た空気を感じます。歴史は繰り返す。性懲りも無く、また同じことをやってます。
地元紙関係者には西敷地問題は高知市のまちづくりと、公正な行政にとって核心的に重要な問題だから、連載などで市民に問題提起すべきではないのかと、何度何度も進言していますが、ただ苦笑いするばかり。夕刊のコラムに岡崎市長が「死んだふり」をしていたとありましたが、天に唾するもので、「死んだふり」を許したことに自責の念はないんでしょうか。
今となっては、この状況に歯止めをかけられるのは、議会だけになりました。現状では賛否は拮抗していますが、やや推進派が多いと思われます。議員へのはたらきかけが極めて重要。市民の願いに背くなら、来年4月の選挙で落とすぞという、プレッシャーを議員にかけれるかどうかにかかっています。
とりわけ常に鵺的に動く公明党、いろいろ手厳しいことをいいながら肝心の場面で追従する近森正久議員、市民クラブ内推進派と思われる近藤強(立憲民主)、田鍋剛(市職員労組)、竹内千賀子(部落解放同盟)、長尾和明(国民民主党)議員へのはたらきかけがカギになります。
by tosahiro-k
| 2018-09-20 00:56
| 取材こぼれ話