2006年 06月 11日
吹井「Ⅳ級」 |
吹井名物「Ⅳ級」というルートがある。ここを何度登っただろう。とても数え切れない。Ⅳ級といいながらⅤ級あると言われ(デシマルグレードは分からないので、すんません)、新人をぶら下げてイビるには最適な難所「大丸」(大の字に貼り付いて動けなくなることからついた)など面白い40メートルもスケールのある好ルートだ。岩を始めた頃は、「『Ⅳ級』を早くリードできるようになりたい」と、そればかり考えていた。懸命のトレーニングを重ねて、ようやくリードさせてもらった時はようやく一人前のクライマーになれたと感激した。
この思い出深い「Ⅳ級」であるが、ホールド・スタンスとともに、どこに錆びたハーケンがあって、リングが伸びたボルトがどこにあってということもルートの一部として、体が覚え込んでいた。今日「Ⅳ級」をリードしたわけだが、ボルトの様相がすっかり変わっていて驚いた。5月に登った時は昔のままだったが、今日はまったく違っていた。ルートの要所要所にペツルのごっついハンガーボルトが打たれていた。リードする時の安心感は断然あるのだが、ちょっと寂しい複雑な気がした。
聞くと、数10年前にゲレンデを拓いたT尾氏が最近復活していて、リボルトしたという。ガチガチのボルトで守られた今のルートは、以前の「Ⅳ級」とは別物だが、開拓者がそれで良いなら尊重したいと思う。
それにしても、最近はフリークライマーもどきの人が吹井に増えている。吹井の岩はもろく、剥離による大きな落石を何度も見たことがある危険な所なのだが、そんなことは微塵も考えていない人たち。トップロープで終日遊ぶのは、まあいいとして、ビールをガブガブ、ノーヘルで騒がしいのは勘弁してもらいたい。だいたい「フリー」をやるなら行くべき岩場は他にあるだろう。吹井あたりでお茶を濁していてはいけない。吹井は古典的山屋の岩場だ。写真は吹井の「Ⅲ級」。「Ⅳ級」の写真は捜したけどなかった。
by tosahiro-k
| 2006-06-11 21:26
| 登山